在来種タンポポの分類
 在来種のタンポポ(ここではニホンタンポポと総称)は研究者によって分類法はさまざまですが、最近は2グループ15種の分類(森田龍義氏:1995)が提唱されています。
(参考・引用文献:日本のタンポポとセイヨウタンポポ 小川潔著)

モウコタンポポ節
 総苞薄緑色で、果実は卵型で大きく、冠毛柄は比較的短い。暖温帯の低地に分布
ミヤマタンポポ節
 総苞片は黒緑色で、果実は細く、冠毛柄が相対的に長い。冷温帯寒帯に分布
最近の研究による分類

在来2倍体種の系統図
keitoujyu4.jpg
東アジアにおけるタンポポ属(Taraxacam)の倍数性種分化の分子系統学的解析
新潟大学・教育学部・教授 森田 龍義
を参考に作図

葉緑体DNA型による分類(森田:1999他)

 葉緑体DNAの分析から、東アジア産のタンポポはいくつかのグループに分けられることがわかりました。
 核のDNAは種子親(母系)と花粉親(父系)の両方を受け継ぎますが、葉緑体DNAは種子親(母系)のみから受け継がれます。
 このことから、日本国内のほとんどの高次倍数体は在来2倍体種起源と推定されましたが、白花系の倍数体は中国・台湾系のタンポポが母系であると推定されます。
日本産タンポポのグループ
2倍体
 カンサイタンポポ T. japonicum
 カントウタンポポ T. platycarpum
 シナノタンポポ T. platycarpum var.hondoense
 すべての低地性日本産2倍体を含む
★別の論文(芝池2002)では、オキタンポポは他の低地性2倍体と少し異なる葉緑体DNAを持つと記載されています。

倍数体
 エゾタンポポ T. venustum H.Koidz.
 クシバタンポポ T. pectinatum
 ケンサキタンポポ T. ceratolepis
 ヤマザトタンポポ T. arakii
 クザカイタンポポ
 シコタンタンポポ
 ミヤマタンポポ
 オオヒラタンポポ

タカサゴタンポポのグループ
更にこのグループは中国台湾系と朝鮮半島系にわけられます。
 中国・台湾系
 2倍体
  タカサゴタンポポ(台湾) T.formosanum
 倍数体
  モウコタンポポ(中国北東部、朝鮮半島、対馬、島原半島)T.mongolicum
  シロバナタンポポ T.albidum
  ツクシシロタンポポ(ケイリンシロタンポポ) T.coreanum
  ウスギタンポポ(ナンブシロタンポポとオクウスギタンポポは同種) T.shinanense
  キビシロタンポポ T.hideoi
  朝鮮半島系
  2倍体
   イワタンポポ(済州島) T.hallaisanensis
  倍数体
   コウライタンポポ(朝鮮半島)T.ohwanum

  tanpopo_asia_hyoga_2xdna.jpg


同じ論文ではアイソザイムの遺伝子型を比較した結果から、5倍体のウスギタンポポは4倍体のキビシロタンポポ(種子親)と2倍体のシナノタンポポ(花粉親)の交配によって生じた雑種としています。
薄黄色タンポポの分類 (芹沢俊介:2006)

 日本に分布する淡黄色花タンポポは形態学的に相互に区別できず、今まで区別の根拠とされている葉の形、総苞外片の形、痩果の色は個体変異であるとして、以下をキビシロタンポポの同名異種としてまとめています。

すべて和名 キビシロタンポポ、学名 Taraxacum denudatum とする。

 イガウスギタンポポ T.albidum var. igaense
 オクウスギタンポポ T.denudatum
 ナンブシロタンポポ T.nanbuense

以下の2種は黄色変種として T.denudatum var.arakiiとする
 ヤマザトタンポポ T.arakii
 ケンサキタンポポ T.celatolepis
クシバタンポポ(T.pectinatum)はエゾタンポポ(T.venstum)の近縁種と考えられるが、今後の検討課題である、としています。

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